
こんにちは。アンドナの野村です。
私は普段、福祉の経営者の方々と一緒にお仕事をさせていただく機会が多くあります。
企業の経営者の方々にも、面白くて素敵な方はたくさんいらっしゃいますし、「すごいな」と思う方にもたくさん出会ってきました。
でも、福祉の方々と関わっているときは、なんだか少しだけ心の動き方が違うんです。
「この人たちがやっていることを、もっと社会に伝えたい」
「面白いことがあるなら、一緒に広げていきたい」
「私にできることがあるなら、何か力になりたい」
以前から、そんなふうに感じていました。
たぶん私は、この人たちの「事業の始まり方」に強く惹かれているのだと思います。
今回は、そんな福祉の人たちに惹かれる理由と、アンドナが福祉と関わっている理由についてのお話です。
最初にあったのは「自分に何ができるか」ではなかった
何か新しい仕事を始めようとするとき、私たちはよくこんなふうに考えます。
「自分は何が得意だろう」
「これまでの経験を活かせないだろうか」
「自分にできることを、必要としている人はいないだろうか」
営業が得意なら営業。ものづくりが得意ならものづくり。話すことが得意なら、それを活かした仕事を考える。
自分が持っているものを、どう社会で使っていくか。
これは、とても自然な事業の始め方だと思います。
もちろん、一般の企業にも社会の課題からスタートした事業はたくさんありますし、福祉の事業をしている方がみんな同じ始まり方をしているわけではありません。
ただ、私がこれまで出会ってきた福祉の経営者の中には、少し違う順番で事業を始めた方が何人もいました。
最初にあったのは、「自分に何ができるか」ではなかったんです。
自分が得意なことより、先になんとかしたい相手がいた
目の前に、困っている人がいる。
必要な支援が足りていない。頼れる人がいない。通える場所がない。
子どもの頃には通える場所があったけれど、大人になった先の行き先がない。
特に重度の障がいがある方の場合、たくさんある選択肢の中から好きな場所を選べる、という状況ではないこともあります。
「じゃあ、この人はこれからどうするんだろう」
そこから動き出した人たちがいます。
福祉の事業をやりたかったからではない。
経営者になりたかったからでもない。
自分が得意だったからでもありません。
ただ先に、「この人をなんとかしたい」という想いがあった。
そこから、「じゃあ、どうしたらできるだろう」と考え始めた。
私は、その順番にとても惹かれるのです。
できるかどうかは、そのあとだった
なんとかしたい。
でも、自分にはできないこともある。
だったら、どうするのか。
知らなければ学ぶ。資格が必要なら取りに行く。
自分にできなければ、できる人を探す。
一人では無理なら、仲間を集める。
場所がなければ、場所をつくる。
必要なら、事業所まで立ち上げる。
最初から全部そろっていたわけではないんですよね。
「できるから始めた」のではなく、「必要だから、できる方法を探した」。
そうやって、走りながら必要なものを一つずつ手に入れてきた人たちです。
想いのほうが、先に走り出した
この記事のタイトルを、「何も持たずに、走り出した人たち」としました。
もちろん、本当に何も持っていなかったという意味ではありません。
皆さんそれぞれに豊かな経験や個性、才能がありますし、無鉄砲に始めたわけでもありません。
ただ、福祉事業を始めるための知識も、人も、場所も、仕組みも、全部そろってから動き出したわけではなかった。
全部そろうのを待つより先に、想いのほうが走り出していたんです。
目の前の人をなんとかしたい。
その気持ちが先にあって、必要なものを後から一つずつ集めていった。
私には、そんな人たちが少しまぶしく見えます。
それは単に「行動力があるからすごい」というだけではありません。
私はたぶん、動き出さずにはいられないほどの「なんとかしたいもの」に出会えたことを、どこか羨ましく思っているのだと思います。
そんな想いに出会えて、それを仕事にできる。
そしてその仕事が誰かの役に立ち、続いていく。
そういう仕事のあり方って、本当に素敵だなと思うのです。
アンドナが福祉と関わる理由
私は福祉の専門家や支援員ではありません。
日々、障がいのある人たちの暮らしを支えているのは、現場で働く皆さんです。
私たちアンドナが、その現場の代わりになることはできません。
でも、皆さんが長い時間をかけて現場でつくってきたものの中には、福祉の「外」に出ることで、もっと面白くなるものがたくさんあります。
ボッチャもそう。アートもそう。重度の障がいのある人たちと一緒に過ごす、あの温かい時間もそうです。
福祉の中では当たり前になっている景色が、企業や学校、地域と交わることで、新しい価値として見えてくるんです。
「これ、社会ともっとつないだら、もっと活かせるかも?」
そんなふうに考えて、人と人をつないだり、企業や学校、地域と一緒に新しい形をつくったりすること。
それなら、アンドナにもできます。
アンドナは、「障害福祉サービス」を行う会社ではありません。
でも、私は福祉の人たちがつくってきたものの中に、社会を少し楽しくしたり、人と人の距離を近づけたり、新しい気づきを生んだりする力があると思っています。
だから、それを福祉の中だけに置いておくのは、もったいない。
もっと外へ。企業へ。学校へ。地域へ。
いろいろな人と混ざっていったら、きっと面白いことが起こるはずです。
全部そろうのを待てないほどの「なんとかしたい!」に出会い、想いのほうが先に走り出した人たち。
私は、そんな人たちを少しまぶしく思いながら、その人たちがつくってきたものを社会へとつないでいく仕事がしたい。
たぶん、それがアンドナが、福祉と関わっている理由です。


