何でもないことが、楽しくなる。福祉と過ごす時間のこと。

昨日、八尾市のノーサイドSTUDIOのアーティストのみなさんと一緒に、ホテル阪神大阪の「ステーキハウス ロイン」さんへ食事に行ってきました。
目的は、とてもシンプルです。
みんなでステーキを食べること!
ホテルのレストランで食事をする。
多くの人にとっては、それほど特別なことではないかもしれません。
家族や友人と出かけて、おいしいものを食べる。
「今度、あそこに行ってみようか」と予定を立てる。
そんな、ごく普通のことです。
でも、重い障がいのある人たちも含めて、みんな揃ってホテルのレストランへ出かけるとなると、少し違います。
移動はどうするのか。
車いすでゆったり過ごせる場所はあるのか。
その人に合った形で食事ができるのか。
普段必要としているサポートを続けながら、みんなで同じ時間を楽しめるのか。
「ちょっと、ごはんを食べに行こう」
その“ちょっと”を実現するために、実はいろいろな準備が必要です。
だからこそ、今回みんなでロインさんへ行けることを、私はとても楽しみにしていました。
自分の作品が飾られているレストランへ
ロインさんには、ノーサイドSTUDIOの作品をご購入いただき、店内に飾っていただいています。
さらに、店内のアートを紹介するアートブックにも、さまざまな作家さんの作品や工芸、家具などと一緒に、ノーサイドSTUDIOの作品を「ひとつのアート」として掲載していただきました。
今回は、その作品を描いたアーティストのみなさんとレストランへ。
自分の作品が飾られているのを見て、みなさんとても嬉しそうでした。
「うれしい」
そんな言葉も聞こえてきました。
作品は、店内のインテリアやほかのアートと自然に溶け込み、ロインさんの空間の一部になっていました。
あらためて見ても、とてもいい空間です。
福祉施設で生まれた作品が外へ出ていき、今度はその作品を描いたご本人たちが、その場所を訪れて食事をする。
ひとつのご縁が、少しずつ次の景色につながっていることも嬉しく感じました。



高級レストランなのに、とても居心地がいい
今回、ホテル阪神大阪さんには、予約の段階からさまざまなご配慮をいただきました。
みんなでゆったり食事ができるようにと、個室を2部屋用意して、食事も、その人に合わせて対応していただきました。
アーティストの中には、お肉や野菜を小さく刻まないと食べることが難しい方もいらっしゃいます。
そのことをお伝えすると、お肉も野菜も食べやすい大きさにして提供してくださいました。
でも、今回いちばん心に残ったのは、そうした一つひとつの対応以上に、そこに流れていた空気でした。
レストランのみなさんが、本当ににこやかに迎えてくださったのです。
大げさに「特別な対応をしています」という感じではありません。
必要なことを、その人に合わせてごく自然にしてくださる。
高級なステーキレストランなのに、不思議なくらい肩に力が入りませんでした。
とてもやさしくて、居心地がいい。
私たちも構えることなく、ゆったりと食事を楽しむことができました。
こういう空気は、設備やマニュアルだけではつくれないものだと思います。
ホテル阪神大阪さんのおもてなしの心が、そこに自然に表れていたように感じました。



みんなで食べると、おいしい
この日は、料理長自ら、私たちの目の前でステーキを焼いてくださいました。
鉄板の上でお肉や野菜が焼かれていく音。いい匂い。
目の前で料理ができあがっていく様子。
そして、焼きたてのお肉。
もちろん、とてもおいしかったです。
みなさんからも、「美味しい」という弾んだ声が聞こえてきます。
自分の作品を見て喜んで。
お肉が焼けるのをみんなで眺めて。
一緒に食べて、「美味しいね」と笑い合う。
私はその時間の中で、何度も思いました。
ああ、楽しいな。
そして、幸せだな、と。
何か特別なイベントをしているわけではありません。
ただ、みんなでごはんを食べているだけです。
でも、その「ただ一緒に食べる」という時間が、なんだかすごく楽しいのです。


「してあげる」だけじゃない
企業や社会が福祉と関わるとき、
「招待してあげる」
「連れて行ってあげる」
「体験させてあげる」
そんな構図になってしまうことが、あるかもしれません。
もちろん、誰かのために何かをしようと思ってくださる気持ちは、とてもありがたいものです。
でも、実際に一緒に過ごしてみると、それだけではないことに気づきます。
こちらも、たくさん楽しませてもらっているのです。
みんなで食事をする。
みんなで出かける。
みんなで何かを見る。
みんなで笑う。
一人で経験するのとは、まったく違う時間になります。
普段なら何でもないことが、みんなと一緒だと妙に楽しい。
いつもの景色が、少し違って見える。
私自身、ノーサイドのみなさんをはじめ、いろいろな人たちと一緒に過ごす中で、そんな時間を何度も経験してきました。
だから、ほかの企業のみなさんにも、福祉との関わりを「何かをしてあげること」だけだと思わないでいてくれたらいいな、と思うのです。
まずは一緒に楽しんでみる。
一緒に面白がってみる。
そこには、外から見ているだけではわからない楽しさが、たくさんあります。

この時間に、ご一緒させてもらえたこと
そして今回、もうひとつ強く感じたのが、ノーサイドさんへの感謝でした。
この日の食事だけを切り取れば、とても楽しい一日です。
でも、この時間は突然生まれたものではありません。
ノーサイドのみなさんが、毎日アーティストのみなさんと向き合い、サポートを重ねてきたこと。
創作を続け、作品を大切に育ててきたこと。
少しずつ外へ出る機会をつくり、人とつながってきたこと。
その積み重ねの中からアートが生まれ、ホテル阪神大阪さんとのご縁につながり、そして今回の食事へとつながりました。
私は、その時間にご一緒させてもらった一人です。
日々の関わりがあったからこそ生まれた、このあたたかい時間をご一緒させてもらえること。
それは、私にとって本当に貴重なことです。
だから、ノーサイドのみなさんには、
私をここまで連れてきてくれて、この時間を一緒に過ごさせてくれて、ありがとう。
素直にそう思いました。
日々のサポートは、決して華やかなことばかりではないと思います。
でも、その毎日の積み重ねの先に、こんなに楽しくて、幸せな時間が生まれることがある。
ホテル阪神大阪さんとのご縁と、ロインのみなさんの自然であたたかいおもてなし。
そして、ノーサイドのみなさんが積み重ねてきた日々。
その全部が重なって、今回の時間が生まれました。
みんなで食べる。
みんなで出かける。
みんなで笑う。
何でもないことが、みんなと一緒だと楽しくなる。
そんな時間を経験するたびに、私はやっぱり思うのです。
福祉って、本当に楽しい。
ホテル阪神大阪「ステーキハウス ロイン」のみなさま、素敵な時間を本当にありがとうございました。
そしてノーサイドのみなさん、ご一緒させてくれて、ありがとう。
また、みんなで行こうね!

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