
こんにちは、アンドナの野村です。
「人が足りないから、ボランティアを募集しよう」
ボランティアを募集するきっかけは、多くの場合、そんなところから始まるのではないでしょうか。
イベントの運営を手伝ってほしい。
施設の活動をサポートしてほしい。
地域の取り組みに関わってくれる人を増やしたい。
人手が必要だから募集する。それは、とても自然なことだと思います。
私自身も、福祉の現場でボランティアを受け入れる側にいたことがあるので、その感覚はよくわかります。
一方で、今は保護猫の預かりボランティアとして、参加する側にもいます。
最近、ボランティア論について学ぶ機会があり、両方の立場で経験してきたことを振り返ってみました。
そこで改めて感じたのが、 ボランティアを「足りない人手を補ってくれる人」とだけ考えてしまうと、少しもったいないのかもしれないな、ということでした。
来てくれる人にも、「来る理由」がある
ボランティアに来てくださる人は、仕事として来ているわけではありません。
何かの役に立ちたい。
興味のある活動に関わってみたい。
知らない世界を知りたい。
人とつながりたい。
好きなことに関わりたい。
理由は、本当に人それぞれです。
そして、そのために自分の時間を使って、その場所まで来てくれています。
受け入れる側からすると、「これを手伝ってほしい」ということが最初にありますよね。
でも、参加する側にも、「ここに来てみよう」と思った理由があります。
この二つの想いがうまく重なったときに、とてもいい関係性が生まれるのではないかと思います。
初めての場所に入るのは、意外と緊張するものです
受け入れる側にいると、その場所はすっかり「日常」です。
誰に声をかければいいのか、何をすればいいのか、どこに何があるのか。
だいたいのことはわかっています。
でも、初めて来た人にとっては、何もかもがわかりません。
「ここにいて大丈夫かな」
「邪魔になっていないかな」
「何かした方がいいのかな」
そんなふうに思っていても、自分から積極的に聞ける人ばかりではありません。
私自身も、初めての場所ですぐに輪の中に入っていけるタイプではないので、よくわかります。
だから、自分がボランティアをする側になってみて、 「最初に声をかけてもらえるだけでも、ずいぶん安心するんだな」 と実感するようになりました。
これは、受け入れる側にいたときには、あまり見えていなかったことの一つです。
掃除や片付けをお願いすることが、悪いわけではない
初めて来てくださった方に、何をお願いするのか。
これは受け入れる側にとって、悩ましいところだと思います。
特に福祉の現場では安全面の配慮もあり、いきなり利用者さんへの支援をお願いするわけにはいかないこともあります。
その結果、まずは掃除や片付け、準備などをお願いすることもありますよね。
私は、それが悪いことだとは思いません。
大切なのは、「その仕事が何につながっているのか」を伝えることではないかと思っています。
「ここを掃除してください」だけではなく、 「ここをきれいにしてもらえると、みんなが気持ちよく過ごせるんです」と伝える。
「この準備をお願いします」だけではなく、 「これができていると、このあとの活動がスムーズに始められるんです」と伝える。
同じ作業でも、自分が何の役に立っているのかがわかると、少し意味が変わってきます。
「手伝った」だけではなく、「自分もこの活動の一部に関われた」と思える。
その感覚が、「来てよかった」につながるのではないでしょうか。
「また来たい」は、仕事の内容だけで決まらない
ボランティア活動をしていると、長く続ける人もいれば、ときどき参加する人もいます。
一度だけ参加する人もいます。
もちろん、それぞれにご事情があります。
だから、長く続けることだけが正解ではないと思っています。
できる人が、できるときに、できることをする。
それがボランティアの自由でいいところです。
ただ、「楽しかった」「役に立てた」「また行ってみたい」と思える場所と、「何をしたらいいのかわからなかった」「なんとなく居場所がなかった」と感じる場所では、やはり次の関わり方は変わってくると思います。
何をしてもらうかだけではなく、
誰が声をかけるのか。
なぜその仕事をお願いするのか。
困ったときに誰に聞けばいいのか。
終わったときに「ありがとう」と伝えられているか。
そんな小さな積み重ねが、意外と大きいのかもしれません。
人数が増えれば、それでうまくいくわけでもない
「ボランティアをもっと増やしたい」 そう思うこともありますよね。
でも、たくさんの人が来てくれれば、それだけですべてがうまくいくわけではありません。
参加する人が増えれば、
誰が何を伝えるのか。
どんな役割をお願いするのか。
困ったときに誰がフォローするのか。
そうした仕組みも必要になってきます。
受け入れる準備ができていないまま人数だけが増えると、来た人に十分に関われず、「せっかく来てもらったのに、何をお願いしたらいいかわからない」ということにもなりかねません。
私自身も、受け入れる側にいたからこそ、この難しさはよくわかります。
だから最近は、 人を集めることと同じくらい、「来てくれた方をどう迎えるか」も大切なのではないかと思うようになりました。
「何をしてもらうか」より、その人を見る
ボランティアを募集するとき、どうしても「あと何人必要か」「何人集まったか」という数に目が向きがちです。
もちろん、人数が必要な場面はあります。
でも、その一人ひとりは「一人分の人手」ではなく、一人の人です。
得意なことも違えば、苦手なことも違います。
関わりたい理由も、参加できる時間も違います。
せっかく来てくださったのなら、「この人には何ができるだろう」だけではなく、
「何に興味があるんだろう」
「どんなことなら楽しめるだろう」
「どうすれば、この人らしく関われるだろう」
と考えてみる。
そうすると、こちらが最初に想定していなかった素敵な役割が見つかることもあります。
ボランティアに来てもらうことで、単に人手が増えるだけではなく、その方の経験や考え方が新しく入ってくる。
それも、外から人が関わってくれる大きな意味だと思っています。
福祉にとって、ボランティアは「外とつながる人」でもある
福祉の現場にいると、関わる人がどうしても限られてしまうことがあります。
利用者さんにとっても、スタッフにとっても、毎日同じ場所で、同じ人たちと過ごすことは少なくありません。
そこに、普段は福祉とは違う場所で暮らしている人が入ってくる。
学生かもしれない。会社員かもしれない。地域の人かもしれない。
その人が来てくれるだけで、新しい会話や、新しい出会いが生まれることがあります。
そして、来てくれた方の側も、「福祉施設って、こんなところなんだ」「こんな人たちが暮らしているんだ」と知るきっかけになります。
私は、ボランティアの価値は、単に人手を補うことだけではないと思っています。
「福祉の中と外が出会うきっかけになること」
それも、とても大きな役割ではないでしょうか。
私も、大切にしたいし、大切にされたい
私は、関わってくれる人たちを大切にしたいと思っています。
でも同時に、自分が誰かの活動に関わるときには、大切にされたいとも思います。
これは、ボランティアだから特別なことではないのかもしれません。
仕事でも、地域活動でも、ボランティアでも、人と人が一緒に何かをするなら同じです。
相手を一人の人として見ること。
「来てくれてありがとう」と思うこと。
そして、関わる側も「ここに来てよかった」と思えること。
どちらか一方だけが得をする関係ではなく、お互いに何かを受け取れる関係。
そんな関係の方が、無理なく長く続いていくのではないかと思います。
「募集する」から、「迎える」へ
人が足りない。だから、ボランティアを募集する。
それは、きっかけとしてはとても自然なことです。
でも、その先で、「何をしてもらうか」だけではなく、「この人がここでどんな時間を過ごすのか」まで少し考えてみる。
そうすると、ボランティアとの関係は少し豊かに変わるかもしれません。
最近、ボランティアについて改めて考える中で、私はそんなことを感じています。
人手を補うための「募集」から、一緒に関わる人を「迎える」へ。
私自身も、受け入れる側として、そして関わる側として、どちらの立場でもこの気持ちを大切にしていきたいと思っています。


