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【第3話|つながる】ボランティアは「人手」だけじゃない。福祉と社会が出会うということ

こんにちは、アンドナの野村です。

「福祉施設でボランティアを募集する」
と聞くと、どんな役割を思い浮かべるでしょうか。

利用者さんのお話し相手になる。
イベントを手伝う。
活動の準備や片付けをする。

もちろん、それもとても大切な役割です。

第1話では、ボランティアを「足りない人手」としてだけ見るのではなく、一緒に関わる人として「迎える」ことについて考えました。
第2話では、「できる人が、できるときに、できることをする」という、ボランティアの自由な関わり方について書きました。

そして今回は、もう少し違う角度から考えてみたいと思います。

最近、ボランティアについて改めて学んだ中で、私が感じていることがあります。
それは、福祉にボランティアが関わる意味は、「人が増えること」だけではないのではないか。ということです。

むしろ、普段は出会わない人同士が出会うこと。
そこに、とても大きな意味があるように思っています。

福祉施設という場所は、出会う人が限られることがある

福祉施設は、利用者さんにとって日々の生活を過ごす大切な場所です。
毎日顔を合わせるスタッフがいて、一緒に過ごす仲間がいる。
安心できる場所である一方で、どうしても普段出会う人が限られてしまうこともあります。

特に、障がいが重く、自分一人で自由に出かけることが難しい方の場合、自分から新しい場所へ行ったり、新しい人と出会ったりする機会をつくることは簡単ではありません。

これは、「福祉施設だから良くない」という話ではありません。
誰でも、同じ職場、同じ学校、同じ地域で暮らしていれば、いつの間にか毎日会う人は似てきます。
だからこそ、自分から外へ出ることが難しい人にとっては、外から誰かがやって来てくれることそのものが、一つの新しい出会いになるのだと思います。

学生が来る。地域の人が来る。会社員が来る。
例えば、福祉施設に学生がボランティアに来たとします。

年齢の近い人と話す。
好きな音楽の話をする。
一緒にゲームをする。
何気ない会話をする。

たったそれだけのことでも、普段とは違う時間になります。

会社員の人が来るかもしれません。
地域のおじさんやおばさんが来るかもしれません。
趣味で音楽をしている人が来るかもしれません。

その方たちは、福祉の専門家ではありません。
でも、だからこそ持ってくるものがあります。
それぞれが普段暮らしている世界の話や、好きなこと、得意なこと、考え方。

つまり、人が一人入ってくるということは、単に「一人分の人手」が増えるのではなく、その人が持っている小さな世界が、一緒に入ってくるということなのかもしれません。

私は、そこがとても面白いと思っています。

世界が広がるのは、利用者さんだけではない

そして、この出会いは決して一方通行ではありません。
ボランティアとして福祉施設に来た人にとっても、新しい出会いになります。

福祉に関わったことがない人にとって、福祉施設は少し入りにくい場所かもしれません。

「どんな人がいるんだろう」
「どう接したらいいんだろう」
「何を話せばいいのかな」

初めてなら、わからなくて当然です。

でも、実際に行ってみる。
一緒に過ごしてみる。
話してみる。

すると、
「あ、この人も阪神ファンなんだ」
「ゲームがめちゃくちゃ上手い」
「この人、よく笑うな」
「私よりずっと音楽に詳しい」

そんなことが見えてきます。

障がいのある人」という大きなくくりではなく、目の前の一人の人として知っていく。

私は、福祉について知るというのは、難しい制度や専門用語を覚えることだけではなく、こういう出会いから始まることも多いのではないかと思っています。

福祉は、特別な世界ではない

福祉の分野に関わらせていただいていると、どうしても「福祉の中」だけで物事を考えてしまうことがあります。

福祉の制度。
福祉の専門職。
福祉の事業所。

もちろん、専門性はとても大切です。
でも、その場所で暮らしている人たちは、ずっと「福祉の人」であるわけではありません。

音楽が好きだったり。
スポーツが好きだったり。
食べることが好きだったり。
おしゃれが好きだったり。
誰かに会うのを楽しみにしていたり。

私たちと同じように、一人ひとりの日常があります。

だから私は、福祉のことを、福祉に関わっている人たちだけで囲わなくてもいいのではないかと思っています。

福祉の専門家ではない人が、普通に入ってきていい。
「何か特別なことをしなければ」と構えなくてもいい。

一緒に何かをしたり、話をしたり、同じ時間を過ごしたりする。
そんな関わりがもっとあってもいいのではないでしょうか。

外から人が来ると、スタッフにも新しい視点が入る

外から人が入ってくることは、利用者さんだけでなく、そこで働くスタッフのみなさんにとっても刺激になることがあります。

ずっと同じ場所で仕事をしていると、自分たちにとっての「当たり前」が増えていきます。
それはどんな職場でも同じですよね。

そこへ初めて来た人が、
「これ、面白いですね」
「どうしてこうしているんですか?」
「こんなこともできそうですね」
と言ってくれる。

すると、「そうか。これって外から見ると面白いんだ」と気づくことがあります。
逆に、ずっと当たり前にやっていたことを、「なぜこうしているんだろう」と考え直すきっかけになることもあります。

ボランティアは、何かを手伝ってくれる人であると同時に、外から新しい風を持ってきてくれる人でもあるのかもしれません。

ボランティアは、福祉と社会の間にある「小さな入り口」

福祉と社会をつなぐ。
そう言うと、なんだか大きな話に聞こえます。

でも実際は、もっと小さなことから始まるのだと思います。

地域の人が一度、施設に遊びに来る。
学生が一日、ボランティアをしてみる。
イベントを一緒につくる。
利用者さんと同じ趣味の話をする。

そんな小さな出会いが、一つ増える。

すると、その人にとって福祉施設は、「知らない場所」ではなくなります。
そこにいる人も、「知らない誰か」ではなくなります。

そして施設の利用者さんにとっても、社会の中に知っている人が一人増える。
私は、こういう小さな接点が増えていくことが、とても大切だと思っています。

いきなり社会全体が変わるわけではありません。
でも、知らなかった人同士が、一度出会う。
そこから始まることは、意外とたくさんあるのではないでしょうか。

「手伝ってもらう」から、「出会う」へ

もちろん、現場では人手が必要です。
ボランティアに助けてもらう場面も、たくさんあります。
だから「人手として考えてはいけない」と言いたいわけではありません。

でも、せっかく外から人が来てくれるのであれば、「何を手伝ってもらおう」だけではなく、
「この人と、ここにいる人たちが出会うことで、何が生まれるだろう」と少し考えてみる。

そうすると、ボランティアの見え方が少し変わるかもしれません。

第1話で考えたのは、「募集する」から「迎える」へ。
第2話では、「頑張って続ける」だけではなく、「できるときに、できること」で関わること。

そして今回考えたのは、「人手を増やす」から、「社会との接点を増やす」へ。ということです。

最近、ボランティアについて改めて考えてみて、私は、ボランティアには誰かを助ける以上の面白さがあるのではないかと思うようになりました。

関わる人の世界が少し広がる。
福祉の中にいる人の世界も少し広がる。
そして、お互いに「知らない人」だった人たちが、少しだけ近くなる。

そんな小さな出会いがあちこちに増えていけば、
福祉のことを、福祉に関わっている人だけで考えなくてもいい社会に、少しずつ近づいていくのかもしれません。

私自身も、そんな「出会うきっかけ」を、これからも少しずつ増やしていけたらと思っています。

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