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「どんな課題を解決する会社ですか?」と聞かれて、少し戸惑う理由。

「アンドナは、どんな課題を解決する会社ですか?」

仕事の場などでこう聞かれると、私はいつも少しだけ戸惑ってしまいます。

もちろん、福祉の世界にはたくさんの課題がありますし、アンドナの取り組みが結果としてその解決につながることもあります。
でも、私は最初から、「この課題を解決したい!」と意気込んでアンドナを立ち上げたわけではありませんでした。

私がずっと感じていたのは、「福祉の中には、社会で活かせるいいものがもっとあるのにな」ということでした。
それを社会に向けて提案してみたい。
アンドナの原点は、そんな思いにあります。

「助けてください」ではなく、「一緒に活かしませんか?」

福祉というと、どうしても、
「困っている人を支える」
「できないことを手伝う」
「社会のみんなに理解してもらう」
そんなイメージを持つ方も多いかもしれません。

もちろん、支援が必要な場面はありますし、社会全体で解決していくべき課題もあります。
でも、それだけではないと私は思っています。

福祉の中には、社会のいろんな場所で活かせるものがあります。
たとえば、人との関わり方。
違いのある人たちが一緒に心地よく過ごすために、現場で積み重ねられてきた工夫。
「できる・できない」という物差しだけで人を見ない視点。
そして、一人ひとりのユニークな表現。
私たちが「当たり前」だと思っていることを、少し違う角度から見せてくれることもあります。

だから私は、「福祉にこんな課題があるから、助けてください」とお願いするだけではなく、「福祉にはこんないいものがあるから、社会の中で一緒に活かしてみませんか?」と提案したいと思っています。

「なくなるかべプロジェクト」が教えてくれたこと

その思いが、私の中ではっきりと形になった取り組みの一つが、「なくなるかべプロジェクト」です。

これは、障がいのある方のアートをきっかけに、芸大生、建築会社、地域の人、そして福祉施設が出会い、一緒に新しい価値をつくっていくプロジェクトです。
最終的には、建築現場の仮囲いを彩るデザインとして形になりました。

でも、私たちが大切にしていたのは、「素晴らしい仮囲いを完成させること」だけではありません。
本当に大切だったのは、そこに至るまでの過程でした。

普段なら出会うことのない人たちが出会い、一緒に考え、それぞれの意見を出し合う。
自分とは違う発想に触れ、一人では思いつかなかったものが少しずつ形になっていく。
そこでは、福祉が企業に助けてもらうわけでもなく、企業が福祉のために何かをしてあげるわけでもありません。
それぞれが持っているものを持ち寄って、一緒につくっていく。
そこに、このプロジェクトの大きな価値がありました。

アンドナは、こうした福祉の中にある価値を起点に、企業や学校、地域の人たちと一緒に、企画や場をつくっています。

目に見える完成品だけが、価値じゃない

もし「なくなるかべ」を、「仮囲いを素敵にデザインするプロジェクトです」とだけ説明してしまったら、一番大切な部分がこぼれ落ちてしまいます。

もちろん、完成したものも大切です。
でも、それだけではありません。

誰と誰が出会ったのか。
一緒に何を考えたのか。
自分とは違う背景を持つ人の考えに触れて、何を感じたのか。
一緒につくる中で、相手への見え方がどう変わったのか。
そんな、目には見えないし、形にも残りにくいものも、大切な成果だと思っています。

福祉が社会に手渡せるものは、商品や作品といった「モノ」だけではありません。
福祉と出会うことで生まれる気づきや、新しい関係、今までとは少し違うものの見方。
それもまた、福祉が社会に手渡せるものの一つだと思います。

だから「課題解決」と言われると、少し戸惑う

そう考えると、「アンドナは、どんな課題を解決する会社ですか?」と聞かれたときに戸惑う理由が、自分でも少し分かってきました。

決して、課題解決を否定したいわけではありません。
それはとても大切なことです。
ただ、私たちの出発点は、「ここに困っている人がいるから、解決してあげよう」ではないのだと思います。

「福祉の中にあるこの価値を、社会でもっと活かせないかな?」そこから始まっています。

福祉と企業、学校、地域が出会って、一緒にやってみる。
そうすると、最初は想像もしていなかったものが生まれることがあります。
誰かの見方が変わったり、新しい関係ができたり、結果として、これまで動かなかった課題が少し前に進んだりする。
私は、その順番がとても好きです。

どちらかが「助ける側」で、どちらかが「助けられる側」になるのではなく。
それぞれが持っているものを持ち寄って、一緒につくる。

だから私たちは、「社会課題を解決する会社」というよりも、
「障がいのある人と社会を楽しくつなぐ会社」と名乗っているのだと思います。

これからも、福祉の中にある価値を福祉の中だけに留めず、
「これ、一緒に活かしてみませんか?」
と、社会に向けて提案していきたいと思います。

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