【仕事】「普通」ってなんだろう?芸大生とアーティスト、心をとかしたコミュニケーションの記録。
こんにちは アンドナの野村です
人と人、人とまちが繋がり、あたたかい未来が生まれていく。アンドナが大切にしている想いをカタチにする、新しいプロジェクトが京都の地で静かに、けれど確かな熱量をもって進んでいます。
このプロジェクトは、想いを同じくするパートナーである稲継工務店さんと共に、建設現場の仮囲いを心温まる場所に変えていく「産学福連携」の試みです。
今回は、この素晴らしい挑戦に参加してくれている京都芸術大学の学生さんたちの、まっすぐな声をお届けします。慣れない課題に戸惑いながらも、真剣に向き合った彼らの中に生まれた、あたたかい変化の物語です。
「自分だったら、どうなんだろう?」初めて見つめた、それぞれの“普通”
これまで、障がいのある人と話したり、その日常について考えたりする機会はほとんどなかった、と多くの学生さんが教えてくれました。
「障がい」というテーマに、どこまで触れていいのか、どんな言葉が相手を傷つけてしまうのか分からず、不安に感じていたようです。
ある学生さんは、こう語ってくれました。
「自分はたまたま障害を持たずに生きてこられただけ。一方で障がいを抱え生きている人のことを考えると、どうとらえて欲しいんだろう?自分だったらどうなんだろう?と、まっすぐ向き合って考えました」
このプロジェクトがなければ、きっと交わされることのなかった会話。学生さんたちは、アーティストたちと直接言葉を交わす中で、大切なことに気づき始めます。
「ノーサイド(施設)の人たちと話したときに、趣味や好きなものが私たちととても近くて、とても普通だと感じたんです」
障がいがあるから「特別」なのではなく、当たり前に尊重しあえる一人の人として、すぐ隣にいる存在。そんな風に感じられたことが、大きな一歩だったようです。
誰かの“想い”を背負う、デザインの新たな挑戦
今回の課題は、自分の作品ではなく、ノーサイドSTUDIOのアーティストたちの作品を活かすこと。学生さんたちは、そこにこれまでとは違う難しさと、大きな責任を感じていました。
「見る人だけではなく、アーティストの想いなど、いろいろな人の視点を考えることが難しかった」
「このデザインで、アーティストは嫌な気持ちにならないだろうか?」
たくさんの議論が交わされました。「障がい者アート」という言葉があることで注目される現実と、もしその言葉がなかったら、彼らのアートはビジネスの場でどう扱われるのだろうか。答えの出ない問いにも、みんなで向き合いました。
同じ「アーティスト」だからこそ、響きあう想い
今回のプロジェクトで、学生さんたちはもう一つの大切な視点に気づかせてくれました。
それは、ノーサイドのメンバーも、自分たちも、同じ「アーティスト」だということです。
ある学生さんは、商業マンガを学ぶ学科に所属しています。「頑張って描いたのに『面白くない』とバッサリ言われることもある。私たちは、常に人に判断される厳しさを経験しています」と話してくれました。だからこそ、「絵の世界はそんなに甘くない」という言葉に強く頷き、ノーサイドのアーティストたちも同じ世界で戦う仲間なのだと感じられたといいます。
また、作品に書かれた「俺はやる」という言葉を見て、「新しいことに挑戦する時の自分と同じだ、と共感した」と語ってくれた学生さんもいました。
障がいの有無や環境の違いを超えて、一つの作品に込められた心の叫びや、表現者としての覚悟が、まっすぐに胸に響く。それもまた、同じアーティストだからこそ分かち合えた、かけがえのない瞬間だったのではないでしょうか。
8月のお披露目へ。この繋がりを、かたちに。
突然の、障がい者アートとのコラボレーションという課題に、学生のみなさんはきっと戸惑われたことと思います。にもかかわらず、とても熱心に取り組んでくださったこと、本当に嬉しく思っています。そして何より、みなさんが生み出してくれたデザインのクオリティーの高さ、新しい発想に私たちはわくわくさせられました。
学生さんの感想を伺い、みなさんがご自身の言葉で、まっすぐに「障がい」というテーマに向き合ってくださった、その誠実な姿勢が伝わってきました。
障がいのあるなしに関わらず、世の中には困っている方がたくさんいます。すぐに答えの出ないことも多いですが、こうしてたくさんの人が向き合い、考えようとすることが何よりも大切だと、改めて気づかせていただきました。みなさんにとって今回の経験が、様々なことに目を向けるきっかけの一つになっていれば、こんなに嬉しいことはありません。
8月のお披露目に向けて、プロジェクトもいよいよ大詰めです。
このプロジェクトを共に考え、素晴らしい挑戦の「舞台」を用意してくださった稲継工務店さん、アートを生み出してくれたアーティストたち、そして真剣に向き合ってくれる京都芸術大学の学生のみなさん。この素敵な繋がりを最高のかたちにできるよう、ラストスパート、一緒に頑張りましょう!
どんな心温まる仮囲いが生まれるのか、みなさんもどうぞ楽しみにお待ちください!


【産学福連携】プロジェクト関係者
株式会社稲継工務店(京都府京都市) https://inatsugu.co.jp/
ノーサイドSTUDIO(大阪府八尾市)https://www.instagram.com/noside_labo_club/
株式会社ねき(京都府京都市) https://www.neki.co.jp/
非営利型株式会社andna(大阪府枚方市) https://andna.co.jp/
学校法人 瓜生山学園 京都芸術大学 https://www.kyoto-art.ac.jp/
<授業の様子>





